【明日への扉】木版摺更紗 染織家〜 心に響く模様を探して 〜

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薄い緑色をした着物の写真

繊細で優美な模様の繰り返しで染められた、更紗の着物。

木版を繰り返し押すことで、複雑に絡み合う模様を生み出す木版摺更紗(もくはんずりさらさ)という染色技法が使われている。

作業中の手の写真

実は、木版摺更紗はおよそ50年前まで誰も再現することができなかった、幻の技法だ。

更紗は16世紀インドから日本に伝わった。その美しさは多くの権力者を魅了し、日本風にアレンジされた和更紗が日本各地で作られた。

なかでも一線を画したのが、佐賀藩で作られていた鍋島更紗だ。シャープな線が特徴で、藩の庇護のもと門外不出の技法として一子相伝で受け継がれていた。しかし、明治に廃藩置県が行われ、藩が解体されたことにより鍋島更紗の技術も途絶えてしまった。

残されたのはわずかな作品と秘伝書のみ。ところが、秘伝書にはシャープな線を生み出す道具については書かれていなかった。

この資料を手がかりに鍋島更紗の復元に挑んだのが、鈴田照次(すずた・てるじ)さんだ。技の源流を知るために1960年代に単身でインドへ渡り、そこで木版を使った染色技法に出会った。照次さんは復元した鍋島更紗を木版摺更紗と名付け、精力的に作品を発表した。

鈴田滋人さんの写真

息子の鈴田滋人(すずた・しげと)さんも木版摺更紗の可能性を追求し、当時史上最年少の54歳で人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定された。

そして、その想いは図らずも一子相伝として孫の鈴田清人(すずた・きよと)さんに受け継がれた。

鈴田清人さんの写真

清人さんがこの道に入ったのは7年前、24才の時だ。偉大な祖父と父にプレッシャーも感じていた。

そんな時、作家としての自分らしさを考える上で方向性を決めてくれたのが偶然見た海外の写真だった。ポルトガルの街並を彩る、アズレージョと呼ばれるタイルが作る模様。

「たまたま見て、すごく綺麗だと思った」そうだ。さらに、「心を満たしてくれるものが模様なんだということを経験して、自分も誰かが感じ取ってくれるような模様を作りたいと思った」。

作業中の写真

目指すのは、自分だけが作れる、心を満たす模様。木版摺更紗の技術を使い、自然が作り出す美しさを自分だけの更紗で表現する。

その表現への挑戦が、清人さんの技術を引きあげる。それが祖父から続く木版摺更紗の教えだ。

作品の写真

一つの作品を作るのに、デザインを考案し、木版を彫り、染めるまで数ヶ月かかる。清人さんは年に2点ほどの新作を精力的に作っている。作品のテーマとしているのは植物だ。

今、清人さんが取り組んでいるのは新作の帯。モチーフとしてツワブキの大小さまざまな葉が円形状に幾重にも重なっている雰囲気をデザインに落とし込んだという。

清人さんが全身全霊で作品に挑んでいく姿を追った。

続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。

~at home presents明日への扉~

ディスカバリーチャンネルにて毎月第3木曜日 19:30~20:00、再放送は翌々週の日曜日 08:30~09:00に放送中

明日への扉公式ページはこちらから。

https://www.athome-tobira.jp/

Text by Discovery編集部

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