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【明日への扉】加賀繍職人 〜 ひと針ひと針に想いを 〜

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「加賀繍(かがぬい)」は、はるか室町時代から伝わる古都・金沢の伝統的な刺繍だ。一千色以上の絹糸を使い、着物や帯にまるで絵のように美しい模様を描き出す。



その繊細で多彩な表現力は、「平糸」と呼ばれるまっすぐな状態の糸を何本か組み合わせ、ねじって縒り(より)をかけて使うことから生まれる。刺繍の技法は15種類にも及ぶそうだ。

使用する針の長さはおよそ2.5センチ。西洋の刺繍針よりも極端に短い。糸の太さや縫い方に合わせて数種類の針を使い分け、中には髪の毛の細さほどしかないものもある。針の出し入れに1ミリにも満たない誤差が生じるだけで出来栄えが変わってくるところにも、加賀繍の難しさがある。

また、ひと針ひと針すべて手作業で縫っているため、ひとつの作品が完成するまでに長い時間がかかる。高度な技術と長い時間をかけて加賀繍は生み出されているのだ。



この伝統工芸の技を受け継ごうと、加賀繍の世界に飛び込んだ若者がいる。

横山実希さん、26歳。加賀繍の伝統工芸士である横山佐知子さんは母であり、師匠でもある。

加賀繍は実希さんにとって物心がついた時からの身近な存在だった。小学校時代、夏休みの自由研究といえば自分で縫った加賀繍が決まりものだったという。大学卒業後、一旦就職したものの、慣れ親しんだ加賀繍で自分の力を試したいとこの道を選んだ。

「加賀繍は、私を変えてくれたものと言っても過言ではない」と実希さん。

「そのまま社会人生活をしていたら、ここまで成長できていなかっただろうと思います。加賀繍にすごく感謝していますし、これからも繋げていきたいと思います」と話す。



娘の実希さんが加賀繍を選んだことについて、佐知子さんは「肩も凝るし、長い時間刺繍しているのは辛い部分もあると思うんですけど、やると言ってくれたのは本当に嬉しかった」と笑顔を見せる。

若手職人として修行を始めて3年目になる実希さんは、加賀繍の15の技法こそすべて使えるものの、師匠との実力の差はまだ大きいという。実は、実希さんは今まで加賀繍の着物や帯を作ったことがなく、もっぱらピアスや帯留めなどの小物作りが中心だったそうだ。

そこで、師匠から技術上達のための課題が出された。今回実希さんが挑むのは、シンプルな帯。しかし、シンプルとはいえいくつもの技法を使って作りたいという。



日本最古の刺繍は、聖徳太子が亡くなった時にその侍女たちが太子を偲んで縫ったものだと言われている。刺繍とは、祈りや想いを込める行為でもあるのだ。

さて、実希さんはこの作品にどんな想いを込めていくのだろうか?

続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。


~at home presents明日への扉~

ディスカバリーチャンネルにて毎月第3木曜日 19:30~20:00、再放送は翌々週の日曜日 08:30~09:00に放送中


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Text by Discovery編集部

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