【明日への扉】ガラス造形作家 〜 輝く再生と創造 〜
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立山連峰の頂を望む富山県富山市。多くの作家が活躍する、ガラスの街だ。
街のランドマークである富山市ガラス美術館には、国内外の名だたる作家の作品が展示され、ガラスアートの世界へと誘う。
また、ガラス作家育成のために開校された全国初となる公立のガラスアート専門学校では、高度なガラス教育が受けられる。
プロとして活躍できるシステムも構築されており、世界でも類を見ないガラスアートの一大拠点となっている。卒業生の多くは第一線で活躍し、それぞれの表現をガラスに映し出している。
色とりどりのグラデーションがガラスの花を咲かせるこの器の作者は、岩手県奥州市出身のガラス造形作家、佐々木俊仁(ささき しゅんじ)さんだ。
佐々木さんは、高校卒業後に進学した美大でガラスと出会った。
ガラスを加工する際には、手で直接触れられないもどかしさがあるという。道具を介してしか、熱いガラスに触れることはできない。しかし、佐々木さんは「できないからこその悔しさ、悔しさからの楽しさ」を徐々に見出していき、気がつけばガラスの虜になっていったという。
そして表現の幅が広がるにつれ、ある想いが沸き上がった。「ガラスで食べていこうと思ったら、富山で経験を積んでこそ一人前だ」。
22歳で富山に移住した佐々木さんは、世界トップレベルの環境で技を磨き、32歳で工房を構えた。しかし、その直後、新型コロナウイルスの影響を受けて展示会は軒並みキャンセルに。作品を作る機会もなくなってしまった。
このまま作家を続ければ、家族を路頭に迷わすかもしれない──。佐々木さんがそう自問自答していた時に、妻からこんな言葉をもらったという。
「あなたはやっぱりガラス作家だから、ガラスをなんとか続けられるようにするのが一番いいんじゃないかな」
その言葉に救われた想いだったという佐々木さん。妻の言葉に背中を押され、制作を再開した。そしていつもなら捨てていた端材で、試しに器を作ってみたという。
すると、色彩が幾重にも交差する、独自な景色を織りなす器が出来上がった。
この器に、佐々木さんは大切な想いをとじ込めている。
それは、祖母から受け継いだ宝物。
東北地方には「裂き織り」という伝統技法がある。着古した着物などを細かく裂いて、それを再び織り上げて新たに生まれ変わらせるという。祖母のタンスから出てきた裂き織りの布を手に取った時、佐々木さんはその布から発せられるパワーを感じ、「そういった力のあるものを作れたら」と思ったという。
故郷の「モノを大切にする」という想いをガラスに閉じ込める。その想いを大切に、「裂織りの器」と名付けた。
佐々木さんの裂織りの器作りが、始まる。
続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。
~at home presents明日への扉~
ディスカバリーチャンネルにて毎月第3木曜日 19:30~20:00、再放送は翌々週の日曜日 08:30~09:00に放送中
明日への扉公式ページはこちらから。
https://www.athome-tobira.jp/
Text by Discovery編集部
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