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【明日への扉】木工芸 駒師 〜 勝負の一手に添える美 〜

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将棋盤の上で繰り広げられる熱い攻防。棋士が指す渾身の一手。その指先にあるのが、将棋の駒だ。

将棋は、はるか平安時代以前に海を渡って伝来したといわれる。

現在の主流は40の駒を使う本将棋だが、実は駒の数が92の中将棋や、なんと130もの大将棋も存在する。



京都府亀岡市。ここに、駒作りに生涯を捧げ、研鑽を積む若者がいる。住谷考蔵(すみたに こうぞう)さん、34歳だ。



大阪生まれの住谷さんは、物づくりが大好きな少年だった。ある日、家にあった一組の駒が運命を変えた。 

「たまたま自分の実家にあった将棋の駒が、職人さんが手作りした駒であるということに高校生の時にふと気がついて。ああ、これは人の手で作ったものなんだ、自分でも作ってみようかなと思ったのが駒作りに興味を持ったきっかけでした」と話す。



そこで、住谷さんは見様見真似で駒を作ってみたそうだ。ところがそう簡単にはいかなかったという。

「毎回彫刻刀の刃が折れるんです。それを10回、20回と繰り返して……もうボロボロで、それをやるたびに刃を研いで。でもやっぱり楽しかったので、すぐに2作目を作りました。2組目を作っている時に、駒作りを人生の仕事にしたいなって思いましたね。」



こうして駒に魅せられた住谷さんは、技術を身につけるために木工芸が学べる学校に進学した。

駒作りの魅力について、住谷さんは「すごく難しい数学の問題を解いているような。それが自分にとっては難しさも面白さであったりするので、そういう意味では天職なのかなと思っています」と話してくれた。



現在、住谷さんは駒以外にも駒箱や駒台、さらには木材を活かした木工芸の作品も手掛けている。日本伝統工芸展にも入選するなどその技術は高く評価されている。



将棋の駒には、大きく5つの種類がある。

駒に書かれた文字がスタンプのように押されており、安価で手軽な押し駒。漆などで文字を書いた書き駒。また、彫駒はV字に彫った文字に漆を塗った駒だ。彫ってから漆で埋めて平らにならした彫埋駒、さらに漆を塗り重ね、文字を盛り上げて磨いた盛上駒は最上級とされ、プロ棋士の対局でも使われている。

今回住谷さんが手掛けるのは彫駒だ。最も一般的な駒といわれるが、それゆえ難しいという。

「彫埋駒や盛上駒では、彫ったV字の面が(漆で)埋められて見えなくなってしまう。彫駒の場合はV字の面そのものが文字のつくりになるので、その面を綺麗に整える必要があり、埋めてしまう駒とは違う難しさがあるのが彫駒の特徴ですね。」



その一手に懸ける勝負の世界。時に駒の善し悪しが、勝敗の行方を左右するかもしれない。

「ちょっとずつ力をつけていって、作った作品が大きな舞台で使ってもらえるように、一歩一歩積み重ねながらやっていきたい」と話す住谷さん。

そんな彼の駒作りを追った。


続きは、ディスカバリーチャンネル放送から。


~at home presents明日への扉~

ディスカバリーチャンネルにて毎月第3木曜日 19:30~20:00、再放送は翌々週の日曜日 08:30~09:00に放送中


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Text by Discovery編集部

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